指示を与えることで、指示に従った文章を生成してくれるAIツール「ChatGPT」。

ChatGPTを使って、集客につながる記事制作やSNSのコンテンツ制作を効率化できないかと考えたことが一度はあるのではないでしょうか。

しかし、ChatGPTの文章を価値あるコンテンツにするためにはいくつかの課題があります。

その課題をクリアできないと、逆に記事制作に時間がかかってしまったり、嘘を広めることにもつながってしまいます。

本記事では、ChatGPTを使って主にオウンドメディアにおける「価値あるコンテンツを」「爆速で」生み出す具体的な方法について解説します。

オウンドメディア記事制作における課題

そもそもオウンドメディアの役割は、Googleの検索上位に潜り込んでアクセスを集めることにより、メディア運営企業の売上・利益に貢献することです。

しかし、Googleの検索上位に出るような記事は質が高く、質の高い記事を作り続けるのは至難の業です。

しかも、質の高い記事が完成したからといって、必ずしも上位になると保証されているわけではないうえ、運良く上位になったとしても、あまり調べられていないキーワードであれば、大きなアクセスにはつながらない可能性もあります。

近年ではオウンドメディアを持つライバル企業も増えてきたため、いかに「質の高い記事を」「手数をかけずに」生み出すかが重要になっています。

そこで、2022年末から彗星のごとく現れたのが、AIで文章を自動生成してくれる「ChatGPT」です。

ChatGPTを使うことで、「質の高さ」「手数をかけずに」という課題が解決できる可能性があります。

実際に海外の実験では、ChatGPTを用いることで、コンテンツ制作にかかる時間が30%削減されたというデータも出ています。

では、ChatGPTをどのように活用すると、効果的なコンテンツが制作できるのでしょうか。

ChatGPTを活用した記事制作効率化の3つのヒント

ChatGPTを活用したコンテンツ制作のポイントについて考えるには、まずChatGPTの特性を知っておく必要があります。

オウンドメディアの記事作成につながる以下3つの観点について、まずは理解しておきましょう。

オウンドメディアの記事作成につながる3つの観点

①:ChatGPTの基礎知識
②:ChatGPTが得意なこと、苦手なこと
③:ChatGPTが記事制作に使えるのは「専門外の分野×抽象的な内容」

①:ChatGPTの基礎知識

ChatGPTは、Microsoft傘下のOpenAI社が開発した、自然言語処理モデルです。

ユーザーが入力した質問に対し、インターネット上で学習したデータから、確率の高い回答を返すことができます。

回答は日本語として不自然さがなく、かつロジカルに生成されるので、新しいコンテンツを生み出すときのリサーチの省略、たたき台の作成という点で、オウンドメディア記事制作に貢献できると考えられます。

②:ChatGPTが得意なこと、苦手なこと

ChatGPTが得意なこと、苦手なことについては色々と議論されておりますが、本記事ではオウンドメディアの記事制作に絞った内容についてご紹介します。

得意なこと

・リサーチを短時間で終わらせられる
・記事や記事の要約のたたき台を短時間で終わらせられる
・タイトルなどを数案から選びたい場合、候補を複数出してくれる
・意図にそぐわない場合、何回でも書き直しできる
・誤字脱字や表記ゆれのようなヒューマンエラーが少なく、正確な文章を返せる

要約すると、記事のたたき台くらいのレベルであれば「最低限の質の担保」がされたうえで記事を書く「時間の削減」ができ、結果的に作業にかかる人件費などの「コストの削減」もできるという点がメリットであり、得意分野であるといえるでしょう。

実際に、数十名のライターさんとお仕事をしている立場からの感覚にはなってしまいますが、クラウドソーシングサイトに依頼するくらいのレベル感であれば、ChatGPTの生成する文章で十分代替できると考えています。

部下や外注さんのマネジメントを行っている立場の方であれば、記事の修正依頼を「何回でも」「文句なく」「スピーディに」行ってくれることがどれほどありがたいかは、身にしみて感じるところがあるのではないでしょうか。

一方で、もちろん苦手なこと、現在のレベルでは難しいこともあります。

苦手なこと

・学習したデータによって、事実と違う文章が返ってくる可能性がある
・言葉を言葉のまま理解するため、ニュアンスを踏まえた回答をすることができない
・読む人の気持ちを踏まえた文章を生成することはまだ難しい

つまり、ChatGPTの文章をそのままオウンドメディアに使ってしまうと「嘘を広める」可能性があるうえ、「空気の読めない」「無機質な」文章としてまとまってしまうケースもあるということですね。

そもそも、ChatGPTの文章をそのまま使っても「AIっぽい文章」は人間でもわかるようになってきていますし、機械に判別されてしまってペナルティを受ける可能性もあります。

ですから、ChatGPTで出力した文章や構成をたたき台にして、ChatGPTが苦手なことを人間がフォローする形でよいコンテンツに仕上げていくという手順が最も現実的な使い方といえるでしょう。

③:ChatGPTが記事制作に使えるのは「専門外の分野×抽象的な内容」

結論、「自分が専門でない分野」かつ「基本的な定義や手順」のような抽象寄りの内容であれば、ChatGPTの文章をほぼ利用して違和感の少ない文章に仕上げることは可能だと考えています。

ChatGPTは統計的に確率の高い言葉を出力するため、「誰もが同じ答えにたどり着く」内容に強いです。

一方で「専門性の高い内容」かつ「具体的で解像度の高い内容」を出力してもらおうとすると、人の手が入る余地が高くなると考えています。

たとえば、とあるゲームに出てくるモンスターに関するクイズを作ってもらった際、回答の8割が誤りだったという事件がありました。

もちろん学習モデルが進化することによってこれらの課題は解決する可能性があるので、今後の技術の進歩に期待して、現段階では具体的な話になればなるほどそこまで信用しないことをベースに、記事制作を進めるほうが無難でしょう。

気をつけながら使えば、ChatGPTがオウンドメディア記事制作に貢献できるという前提で、次は具体的な使い方について見ていきましょう。

ChatGPTを使ってオウンドメディア記事制作を行うための5つの工程

ChatGPTでオウンドメディアの記事制作を行う際、手順としては人が考えることをそのままChatGPTにやってもらえばよいのですが、ChatGPTならではの出力の癖があります。

以下5つの工程について、どのような出力の癖があり、どのように対応すればよいかも含めて具体的にお伝えします。

オウンドメディア記事制作の工程

①:ChatGPTに記事を制作してもらうためのプロンプト(指示文)を考える
②:ChatGPTに構成を書き出してもらう
③:構成をもとに、本文を書き出してもらう
④:本文をもとに、リード文や要約、タイトル案を書き出してもらう
⑤:本文を編集する

①:ChatGPTに記事を制作してもらうためのプロンプト(指示文)を考える

ChatGPTで精度の高い記事制作を行うためには、出力させたいものをイメージできる、できるだけ詳細なプロンプト(指示文)を与えることが重要です。

たとえば、以下2つの指示では仕上がりが異なるものになることがイメージできるでしょうか。

例1)
「TikTok 機能」という検索で上位に来るような記事を書いてください。
例2)
「TikTok 機能」という検索でGoogle検索のトップ10に入るような記事を書いてください。記事は2,000文字程度でまとめてください。対象はこれからTikTokを始めたい法人担当者です。記事本文の最後に、私が提供するTikTok運用サポートへの誘導を入れて締めてください。

ChatGPTは、「指示のあいまいな部分を聞き返して精度を上げる」ということは基本的に行いません。

あいまいな部分については、最も確率が高いだろうと判断した内容を補完して書き進めてしまいます。

例1の場合、ターゲットも文字数も指定されていないので、個人利用する一般ユーザーに向けた記事を1,000文字くらいで書いてしまう可能性もあります。

もちろん、どんなに細かく指示を書いても、1回で理想の出力結果を得ることは難しいです。しかし、理想の出力結果に近づけるためのプロンプトを考えることは可能です。

試行錯誤して、自分なりのプロンプトをまとめてみましょう。

参考までに、私がChatGPTで文章のたたき台を作成する際、プロンプトによく含める内容を記載します。

オウンドメディア記事制作のために、プロンプトによく含める内容

・記事のゴール(どんな人にどんな行動を起こして欲しいか)
・自分の立場(あなたはコンサルタントです、など)
・ターゲット
・ターゲットの抱えている悩み
・出力形式(マークダウン式で、など)
・文章の基本ルール(常用漢字表に記載のある漢字しか使わない、など)

②:ChatGPTに記事構成を書き出してもらう

ある程度、詳細なプロンプトが仕上がったら、まずは記事構成を書き出してもらいましょう。

いきなり本文を書き出すと、意図とずれた内容を延々と続けてしまう可能性があるためです。

記事構成は中見出しまで書き出してもらうと、内容のイメージがつきやすいです。

本記事であれば、以下のようなまとめ方だと大見出しまでの記事構成になります。

1.オウンドメディア記事制作の課題
2.ChatGPTを活用した効率化の3つのヒント
3.ChatGPTを使ってオウンドメディア記事制作を行うための5つの工程

中見出しまで書き出してもらった状態が以下です。

1.オウンドメディア記事制作の課題
2.ChatGPTを活用した記事制作効率化の3つのヒント
2-1.ChatGPTの基礎知識
2-2.ChatGPTの得意なこと、苦手なこと
2-3.ChatGPTが記事制作に使えるのは「専門外の分野×抽象的な内容」
3.ChatGPTを使ってオウンドメディア記事制作を行うための5つの工程
3-1.ChatGPTに記事を制作してもらうためのプロンプト(指示文)を考える
3-2.ChatGPTに記事構成を書き出してもらう

ここまで詳細な構成が出ると、必要な部分、不要な部分、追加するべき部分が判断しやすくなります。

その判断に則って「3つ目の大見出しに具体的な事例を入れる形で記事構成を書き直して」など修正指示を行い、ターゲットにとって読みやすくわかりやすい構成に近づけていきましょう。

③:記事構成をもとに、本文を書き出してもらう

記事構成ができあがったら、その記事構成をもとに本文を書き出してもらいます。

たまに、作成してもらった記事構成を無視して書き出してしまうことがあるので、その際は記事構成をもう一度読み込ませて、読み込ませたものに基づいて書き出しを始めてもらうようにしましょう。

本文も記事構成と同様に、ずれた内容を書き出して止まらなくなることがあるので、大見出し1つずつなど細かく出力を行うことが大事です。

ただし、一語一句レベルの細かさで書き直しをしてもらうくらいであれば、人の手で修正してしまったほうが早いです。

大枠の方向性がずれてしまった場合は再出力を行い、細かい修正は後で人の手で直す、くらいのバランスを見ながら進めましょう。

また、文章化するコンテンツについて体験談や一次情報を持っている場合は、ChatGPTに任せずに自分で加筆をしたほうが、検索エンジンの評価につながりやすくなります。

④:本文をもとに、リード文や要約、タイトル案を書き出してもらう

ChatGPTで記事を書き出した場合、リード文(導入文)と本文の内容が合っていないことがあります。

そのため、リード文は本文の出力後に行うことがおすすめです。

リード文の内容をもとに記事の要約(メタディスクリプション)も作成できるので、ついでに作成してしまいましょう。

リード文は400文字程度、メタディスクリプションは90~120文字程度までの文量が一般的です。

また、タイトル案は最初の出力の段階で出てくることもあれば出てこないこともあります。タイトルは検索結果から記事を選んでもらう工程において重要な役割を果たすため、初稿をそのまま採用せず、精査をしたほうがよいです。

そのため、10案程度をChatGPTに提案してもらったうえで、人の手を入れることをおすすめします。

20案~30案を出してもらってもよいのですが、あるタイミングから言葉の前後を入れ替えただけで、訴求する内容がほとんど変わらないものを出してくるようになります。

感覚にはなってしまいますが、オウンドメディア記事のタイトル案においては、今のところ10案~20案くらいがオリジナリティのある案出しができる限度だと考えています。

⑤:本文を編集する

最後に、出力してもらった本文を人の手で編集しましょう。

ChatGPTの文章をそのまま使うのはNGです。理由は以下4つになります。

ChatGPTの文章をそのまま使うのがNGな4つの理由

・検索エンジンに見破られ、ペナルティを受ける可能性があるため
・「AIっぽい文章」は見分けられるようになってきており、離脱を生む可能性があるため
・読者がAIの回答にない具体的な内容を求めるようになるため
・競合と似たりよったりの文章になってしまう可能性があるため

ChatGPTの出現により、一般的で抽象的な内容は誰でもまとめられる時代になり、そういった情報の価値は落ちていきます。

逆に、AIでも回答できない一次情報、発信者の立場ならではの独特なものの見方などが、価値ある情報として参考にされるようになると考えられます。

実際に、Googleも2022年12月に更新した検索品質標準ガイドにおいて、新たに「Experience(経験)」を重視すると発表しています。

単純に文章を書く工数は効率化できても、文章の質までをAIに委ねるのは、まだ難しいと心得ておきましょう。

では最後に、ChatGPTで書き出した記事を編集する際に着目すべきポイントについてお伝えします。

人がChatGPTの記事を編集するときに着目すべき4つのポイント

ChatGPTは正確で論理的な記事をあっという間に生成してくれます。

一方で、ChatGPTならではの書き方の癖もあり、その癖を見逃すと、記事としての品質が一気に落ちてしまうものもあります。

以下4つのポイントを押さえ、よりよい品質の記事に仕上がるように編集しましょう。

①:記事の内容が本当に信頼できるものかを確認する

「ChatGPTは正確」だとお伝えしましたが、それはあくまで学習している内容が正確であることが前提となっています。

つまり、学習している内容に間違いがあれば、間違った回答を当然のように書き出すということです。

そのため、ChatGPTの書き出した情報を完全に信用はせず、狙っているキーワードで検索して上位にいる記事を参考にするなど、ファクトチェックを行いましょう。

また、著作権のあるものや商標キーワードを出力している可能性もあるので、注意が必要です。

②:文と文の間がストーリーとしてつながるように順番を検討する

「ChatGPTは論理的」だとお伝えしましたが、1つ1つの見出し内では論理的であっても、見出しと見出しの間のつながりが弱いケースが散見されます。

たとえば、「主婦におすすめのスマート家電」についての記事を書くとします。

ChatGPTにおすすめを5つ教えてもらったところ、以下の順番で返答がきました。
(詳細説明は省略しています)

1.スマートロボット掃除機
2.スマート洗濯機
3.スマート電子レンジ
4.スマート調理器具
5.スマートスピーカー

確かに考えられる選択肢を挙げてもらえてはいますし、このままでも情報としては十分です。

しかし、記事内容に共感してもらい、行動を促すには、「なぜこの順番で伝えるのか」にまで意味を持たせることが大切です。

たとえば、「予算が少なくても絶大な効果を発揮する」というストーリーを描いた場合、以下のような順番が想定できます。

1.スマートスピーカー
2.スマートロック
3.スマート調理器具
4.スマートロボット掃除機
5.スマート電子レンジ

記事の流れにストーリーが加わるかどうかで、続けて読んでもらえる可能性がぐっと上がります。

こういった、「ターゲットに寄り添ったシナリオにまとめる」部分においては、AIでは読み取れないニュアンスもあるため、人の手で編集を加える余地があるといえるでしょう。

③:読み手の「属性」「利用する媒体」に合わせたレベル感に表現を調整する

よい記事の条件の1つとして、読み手(=ターゲット)にとってしっくりくる表現が使われているというものがあります。

たとえば、意識の高いビジネスマン向けのメディアに投稿する記事であれば、ビジネス用語などレベルの高い言葉を使ったほうが、文章が締まって読みやすく感じられるでしょう。

一方で、一般の方向けのブログに投稿する記事にビジネス用語を使うと、小難しいと思われて離脱につながる可能性があります。

もちろん、「ビジネスマンに向けて」「中学生でもわかるように」と指示することで、ある程度ターゲットに寄せた出力結果を得ることは可能です。

しかし、「この言葉はちょっと難しそうだ」「この流れだとしっくりこないかもしれない」という微妙な感覚は、人にしかわからない領域だといえます。

文章を書くことそのものが短時間でできるようになったからこそ、細部に気を遣うことが大事です。

④:一次情報(体験談やオリジナルの考え方)を含める

前述したように、一次情報やオリジナル体験を盛り込んだ記事が価値あるものとみなされています。

ある事象に対して「あなたが」どんな過程で課題解決をし、それに対してどのようなことを感じ取り、何が学びになったのかということを具体的に書いてあげることが重要です。

もちろん、中立的な意見は中立的な意見として大事ですが、これからはChatGPTに聞けば中立的な意見は把握できる時代になります。

ポジショントーク大歓迎。あなたの目線だからこそ伝えられる面白さを大事にしましょう。

AIの力を借りて、面白いコンテンツを爆速で生み出そう

以上、AIツール「ChatGPT」を用いたオウンドメディア記事制作の具体的な方法についてお伝えしました。

AIの普及によって人が果たす役割も変わるため、まだまだ人が手を入れる余地は少なくなさそうです。

これからは、面白い切り口を見つける「企画力」や、読み手の感情を動かす表現にまとめる「編集力」が。ますます重要になります。

もし「企画力」「編集力」に長けたコンテンツメーカーになりたい、またはそういったコンテンツメーカーを社内で育成したいというご希望がありましたら、「AI時代のライティングスクール」で体系的に学んでみるのはいかがでしょうか。

以下に個人向け、法人向けのページのリンクがございますので、ご興味がある方はご参照ください。

また、コンテンツ制作は進めたいが、ここまでを内製化するにはマンパワー不足だという企業様もいらっしゃると思います。

その場合、記事制作を中心としたコンテンツ制作を丸投げしてしまうという方法もあります。

「ベースの文章はChatGPTに任せ、編集だけ依頼する」といった組み合わせも可能ですので、お気軽に下記リンクよりご相談ください。

AI時代の技術を存分に活かし、あなたのコンテンツを世の中に浸透させていきましょう。