ビジネス基礎講座

人の心を動かすプロスペクト理論とは?ビジネス活用の4つの方法

あなたは買い物をする時に期間限定で販売されているデザインや味の商品や、タイムセールで値引きされている商品を見つけて「買わなきゃ!」と思った経験はありませんか?

この「今買わないと損をする」という気持ちこそがプロスペクト理論の基礎であり、誰しもが持っている心理作用なのです。

プロスペクト理論は人の意思決定モデルの1つで、ビジネスの世界では顧客の心理を突き動かすために必要不可欠とされています。

本記事ではプロスペクト理論の定義、そしてプロスペクト理論を実際に活用したマーケティング方法について解説します。

損したくない気持ちを揺さぶる「プロスペクト理論」とは

プロスペクト理論とは、同時に似たような選択肢を提示された時に、人は直観的に「損をしたくない」と感じ、損失やリスクを避けられる方を選ぶという心理を応用して、行動を促す理論のことです。

この理論はアメリカの心理学および行動経済学者のダニエル・カーネマンと共同研究者のエイモス・トベルスキーが提唱し、現在はマーケティングや投資の世界で幅広く活用されています。

プロスペクト理論を理解して、顧客に対する言い回しや商品の宣伝文句を変えれば、商品に対する反響率や成約率がぐんと上がるので、ビジネスを成功させるためにも積極的に活用していきましょう。

プロスペクト理論を理解するための2つの事例

ここではプロスペクト理論の理解を深めるための事例を2つ挙げます。

①:人はノーリスクで得になる選択肢を選びやすい

例えば、店頭に高額で買うのを躊躇していたけれど、どうしても欲しい商品がある場合、その商品に対して店が以下の2つのキャンペーンを展開しており、どちらか1つを選べるとします。

・50万円の商品が50%オフ
・50万円の商品がサイコロで偶数の目が出ればタダ、しかし奇数の場合は定額購入

あなたはどちらを選びますか?多くの人は1番目のキャンペーンを選択し、手堅く商品を半額で手に入れるのではないでしょうか。

これは人は目先の利益を確認した時に、確実に得をする方を選択するという心理があることを示している事例です。

②:元々リスクがある場合には、それよりも大きな利益を取りに行きやすい

先のキャンペーンと内容は似ていますが、今度はあなたに50万円の借金があるとします。
その借金に対して以下の2つの選択肢が提示されたとしたら、どうでしょう。

・50万円の借金が50%減額される
・50万円の借金がサイコロで偶数の目が出たら全額帳消しになるが、奇数の場合は50万円のまま残る

この場合は多くの人が2番目の選択肢を選びます。

なぜかというと借金という元々の損失がある状態では、人はリスクよりも大きな利益を得られるチャンスがあると判断して、そのチャンスに賭けた選択をするという心理を示しています。

これはギャンブルで「次でもっと稼げるはず」といって止められない人にも同じことが言えます。

これらの2つの事例の選択肢はどちらも似てはいるものの、選択する側が置かれた状況によって、プロスペクト理論に基づいた心理作用が働き、選択肢の選び方が変わってくるということを証明しています。

プロスペクト理論をマーケティングに活かすための4つの方法

①:限定性を利用して相手に「損をする恐怖感」を与える

限定性は緊急性ともいえ、相手の「何かを失うことへの恐怖」や「今行動に移さないと損をする恐怖」を心理的に突く方法です。

分かりやすい例はタイムセールです。
例えば「今から先着30名様は80%オフで販売」とか「これから15分間は店内全商品が70%オフ」といった宣伝は日常でも聞いたことがあると思います。

実際に売上が伸び悩んでいる店舗や商品に対して、この限定性をアピールするようにしたところ、売上が向上したというデータがあります。

相手に買ってもらいたい商品がある場合には、まずこの限定性を演出することがおすすめです。

②:権威性を利用して相手の信用を得る

権威性は簡単に言うと「商品を勧める側の社会的信用や立場」のことです。

人は社会的に認められた人や話題になっているインフルエンサーの言葉に影響されやすいため、、例えば「美肌が話題の芸能人が愛用している美容液」や「医師も推薦しているSNSで話題の健康グッズ」などは信用して買いやすい傾向があります。

これも相手の心理を突いて反響率を上げるためにCMでよく使われている方法です。

③:希少性をアピールして相手の心を動かす

数量限定商品や期間限定のコラボデザインなど、世の中には希少価値のある商品がありますよね。

例えば「月間生産台数を100万台」と設定し、抽選販売を実施するとか、特定のデザインのブランド品の生産数を限定してシリアルナンバー入りで販売するという現象があると、人は「今買わないともう手に入らない」と強く感じて購入するという行動にすぐに移ります。

これは顧客の需要に対して供給量を少なくすることで、希少性、つまりレア感をアピールして購買意識を煽る方法です。

④:返金保証などを盛り込んで損を回避できる安心感を与える

美容品やダイエット食品の通販でよく見かけるのは「効果を実感しなければ全額返金」「一ヶ月以内の返品であれば全額返金保証」という宣伝文句です。

これは顧客の持つ「もし効果が出なかったらどうしよう」「こんなに高いお金を出すのはちょっと…」という不安や警戒心を「万が一の場合は全額返金するので大丈夫」とアピールすることで解いているのです。

とにかく相手の「損をしたくない」という感情を揺さぶり、「顧客に損をさせない対応ができている」とはっきり提示することで、購買率を上げることができるのです。

プロスペクト理論を活用して顧客心理を刺激しよう

商品を売る場合や顧客にとってお得な情報をアピールしたい時には、プロスペクト理論を使った言い回しで相手に「いかに損をしないか」「今行動することでどんな利益が生まれるか」を伝えましょう。

そうすればその商品に対する顧客からの反響率を簡単に上げることができます。

プロスペクト理論は普段なにげなく見ているCMや広告にも取り入れられているので、売れている商品はどのようにプロスペクト理論を応用しているかを研究し、ぜひビジネスやマーケティングに活かしてみてくださいね。

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