「新規事業を進めましょう!」…と言われて、どのように進めるべきか、ぱっとイメージが湧きますか?

「湧きます!」という方は相当な猛者、またはVCや連続起業家のような、事業立ち上げに慣れている方かと思います。実際に法人を経営されている役員層の方でも、新規事業立ち上げについては頭を悩ませており、相談をいただくことがしばしばあります。

本記事では、事業の妥当性について客観的に精査する経営コンサルタントとしてのキャリア、集客施策を行うマーケティング施策担当者としてのキャリア、意思決定を実際に行う経営者としてのキャリアを踏まえ、

特にマーケティング文脈から新規事業立ち上げ時に留意しておくべきこと手順よくある失敗パターンについて考察します。

成功パターンは再現性がないが、失敗パターンは再現性があります。失敗パターンをインプットいただくことで、逆説的に新規事業におけるマーケティングを成功に近づけられると考えております。

10,000文字近くの分量があるので、適宜読み飛ばしたり、ななめ読みすることをおすすめします。

代表:岸川

<プロフィール>
新卒で経営コンサルタントとして、中期経営計画策定、新規事業推進、全社生産性向上などのプロジェクトを実施。その後、成功報酬制インターネット広告代理店でWEB広告まわりの新規事業立ち上げ、商品開発、広告運用に従事する傍ら、自身でアフィリエイト(SEO)の収益化も行う。現在は企業のマーケティングを合格点に持っていくための標準化ソリューションを提供。2021年より情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授も務める。

新規事業成功率のドライバーとなる3つの要素

①:アイデアの精度
②:事業化の成功率
③:収益化の成功率

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新規事業化やマーケティング以前の問題があるケース

新規事業の成功確率は1割とも言われています。では、残りの9割はどこで躓いているのか。

体感値で恐縮ですが、「新規事業を立ち上げたい」「新規事業のマーケティングをどうすれば良いか」とご相談をいただくケースの50%程度が、事業化以前に検討しなければいけないことがあると私は認識しています。

以下、新規事業推進前に留意すべき点についてお伝えします。マーケティング施策に懸念点がある方は読み飛ばしてください。

失敗パターン①:会社全体の方針や既存事業の整理ができていない

解決策例:
中期経営計画の見直し、人事評価制度の見直し、組織再編など

これは、特に経営コンサルティング法人様とお話すると共感いただくことが多い内容です。

ヒアリングを進めていくと、会社全体の方針(中期経営計画など)が定まっていない既存事業との兼ね合いをどうするかを整理できていない、というパターンがあります。

その結果…

起こってしまっていること

・短期的な成果を求めすぎて失敗する
・描いたスキームに対して投下するリソースが少なすぎて、現場が疲弊する
・既存事業とのシナジーが起こせず、立ち上げスピードが遅れている
・新規事業の推進がメンバーのメリットに直結せず、現場のモチベーションが低下する

という事態に陥っていることも。

もちろん既存事業にて新規のマーケティング施策を試す場合も同様のことが起こりえます。結果的に「ミッション・ビジョンの見直しから必要」ということも実際に複数回ありました。

新規事業を始める際は、既存事業の方向性や、既存事業との兼ね合いについて、しっかりと目処を立ててから進めましょう。

代表:岸川

場合によっては経営企画室や経営コンサルタントが入って、事業整理から始めた方が良いケースもありますね。

失敗パターン②:新規事業のゴールが明確でない

解決策例:
戦略ゴールの定義、施策ゴールの定義、撤退ラインの明確化など

新規事業に関わらず、どんなプロジェクトの立ち上げ時でも耳にタコができるほど言われるのが「ゴール」の存在。

重要なことはわかっているのですが、検討が長期化すると、当初のゴールからだんだんずれていくということも珍しくありません。

例えば、以下のどれをゴールとするのかによっても動き方が大きく変わります。

ゴール例

・既存事業が大企業向けなので、SMB(中小企業)向けの商品ラインナップを拡充したい
・既存事業の顧客にクロスセルできる商品をつくり、顧客単価を上げたい
・10年後に主軸となる事業をつくるため、短期的には「投資」の位置づけで種まきをしたい
・上場するために売上額が見られるので、短期的に売上が増えるようなスキームをつくりたい

当初は投資と言っていたのに短期的な売上を求めだしたり、当初はSMB向けと言っていたのに、ブルーオーシャンだからと比較的規模が大きめの企業に寄った商品づくりになっていたり…。

マーケティング文脈で言うと、大きな戦略が決まっていないと、戦略に即した施策が打てず、戦略と施策の分離が起きて、施策が失敗するというケースはよくあります。

会社として「なぜ・なんのために」進めているのかというところを、メンバー全員が確信を持って答えられるか、というところにしつこいくらい留意してプロジェクトを進めましょう。

代表:岸川

マーケティング施策が上手く行かない原因の1つに、当初とゴールがずれてしまい、あれもこれも成果を求め始めてしまっているというケースもよく見ますね。

失敗パターン③:今までの成功パターンの範囲内の着想になってしまっている

解決策例:
市場調査(SPEEDAなど)、競合調査、専門家ヒアリング(ビザスクなど)、

ソーシャルリスニングなど

市場・ターゲットは変えずに既存顧客にクロスセルしていくような商品(サービス)の場合は大きな問題にはならないのですが、同じ課題解決スキームを別業界に転換する場合や、まったく異なる商材を打ち出す場合は注意が必要です。

業界の特性によって、これまでの成功パターンが逆に悪手になってしまう可能性もあるためです。

例えばマーケティング業界の例になりますが、SEO(検索順位最適化)を成功させようとすると、キーワードリサーチして、キーワード設計して、タイトルは○文字以内でキーワードを含むようにして、初期はSNSからも流入を図って…など、ある程度正解と思われる手順があります。
(アルゴリズムは常に変動するので「思われる」と表記しています)

しかし、同じGoogleのコンテンツサービスだからと言って、YouTubeの運用設計でSEOの考え方を転用すると、必ず失敗します

※YouTubeの運用設計が気になる方は、無料のチャンネル診断もご用意させていただいております。

文字で書かれると「そんなことは当たり前だ」と思われるかもしれませんが、これは実際に資金余力のある大手ベンチャー企業で起こっていた事例です。

特に別市場・別業態にチャレンジする場合は今までの成功パターンは一旦アンラーニングし、0からスタートするつもりで臨みましょう。

代表:岸川

人は過去の成功に囚われてしまうので、アンラーニングと言ってもかんたんそうで難しいです。セカンドオピニオンをもらうなど、外部の目線を入れることも1つの手でしょう。

失敗パターン④:今後起こりうる外部環境変化を捉えていない

解決策例:
海外の技術調査、国内でイノベーションが起きているかの調査、PEST分析など

新規事業においては参入タイミングも大切で、「遅すぎるのは当然NG、ただ早すぎてもNG」です。

例えば、マーケティング先進国でAという技術に代わるBという技術が普及してきたとします。日本ではAは成熟市場で、Bがぽつぽつ現れつつあるタイミング。

このように、数年以内にB市場が大きくなりそうな予測がつく場合、あえてA市場にリソースを割かないほうが賢明なケースもあります。

逆に、マーケティング先進国でBという技術がぽつぽつ現れつつあり、日本でBについて知っている人はごくわずか…というタイミングで、時代を先取りしてBへの参入を意思決定しても、市場ができるまでに5年かかりました、ということも少なくありません。

この場合、5年後の市場成長を見越した投資が目的であれば問題ありませんが、短期的な利益創出を目指すのであれば、明らかに方向性が間違っています。

参入市場や参入市場まわりでどのような外部環境変化が起こりうるか、ある程度の予測を立てながら新規事業に臨む必要があるでしょう。

マーケティングフレームワークで「PEST分析」と呼ばれているものもありますが、業界に一定の知見があれば、個人的にはそこまでかちっと実施しなくても良いと考えています。

代表:岸川

マーケティングにおいて、中央集権的でビッグデータが即時集まる中国の施策は、参考にする余地を大いに秘めていると考えています。

アイデア化~事業化のフェーズで問題があるケース

ここからは、新規事業を進めるための土台は整っていて、アイデアを形にするフェーズで起こりうる問題について解説します。

事業化については事業開発経験者経営視点を持っているマーケティング責任者がいれば、大きく躓くことはない印象ですので、読み飛ばしていただいて構いません。

逆に、そのどちらにも当てはまらないケース。例えば営業などのエース級社員をぶっつけ本番でアサインする場合や、兼業メンバー主体でプロジェクトを進める場合はご注意ください。

※マーケティング視点からの事業化診断を無料で実施しております。詳しくは「レンタルCMO」のページをご覧ください。

失敗パターン⑤:新規事業が顧客の課題解決になっていない

解決策例:
リーンキャンバスの策定、顧客ヒアリング(自社・知り合い・モニター)、3C分析など

これは特に、ものづくりが得意・技術力が高い企業が自社サービスを生み出す際によく発生する内容です。

打ち出そうとしている商品(サービス)がそもそも誰のどんな困りごとを解決しているのかというシンプルな問いに答えられなくなっている、ということです。

Appleのような、いわゆる「自社の技術を市場に押し付けているように見える」企業もいくつかありますが、「資金力があってPDCAが回る」「顧客データが大量に取得できて市場の反応がすぐにわかる」などの戦略優位性があるためできることとも言えます。

基本的には「顧客は誰か」「どんなことに困っているか」を考え尽くし、調べ尽くし、必要なもの(=Must have)”だけ”を提供することからスタートさせましょう。

マーケティングフレームワークとしては「3C分析」が有名ですが、下記のリーンキャンバスも3C分析の内容を包含しているので、おすすめです。

おすすめフレームワーク

リーンキャンバス
「リーンスタートアップ」と呼ばれる、シリコンバレーのベンチャー立ち上げの成功パターンを凝縮した書籍に掲載されている事業立ち上げフレームワーク。リーンキャンバスの穴埋めをするだけで、事業化で飛ばしてはいけない最低限の内容を詰められる

代表:岸川

良いプロダクトを開発できている自負がある方ほど、それがほんとうに市場に求められているのかの見直しが定期的に必要です。自戒を込めて…。

失敗パターン⑥:顧客検証が足りていないor顧客の声に引っ張られすぎている

解決策例:
デプスインタビュー、グループインタビュー、ユーザーテスト、STP-4P、など

「誰のどんな困りごとを解決するか」を机上で考えても、実際の顧客はまったく困っていなかった…ということも少なくありません。

そのため、顧客検証は十分に実施することが大切です。

シリコンバレーでもまずは10の顧客を幸せにせよということが1つのセオリーとして認識されていますし、新規事業を成功させている企業では以下のようなことを最初に実施した、とよく聞きますので、ご参照ください。

新規事業立ち上げ成功企業の「最初の動き」

・まず企画書だけ作ってから売ってみる。売れそうな目処が立ったら開発する
・利益度外視で想定顧客に無料または格安提供し、商品開発のPDCAを一緒にまわす
・定性調査・定量調査をリサーチ会社に委託して実施する

逆に、顧客の言うことに引っ張られすぎて、失敗するケースもあります。有名な例が2006年に「サラダマック」という健康志向の商品を展開したマクドナルドです。

マクドナルドの失敗

・「ヘルシーな商品が欲しい」「サラダが食べたい」という顧客の声が多かった
・顧客の声を取り入れて、サラダマックを売り出した
・しかしサラダマックは売れず、あっけなく終売

このケースでは、顧客は「一般的にこう答えるのが正しい」という体で回答してしまったため、マクドナルドの本当の強みに対するインサイトが得られなかったのです。

逆に、クォーターパウンダーのような肉肉しい商品が大ヒットしていることから、マクドナルドにはカロリーが高くて身体に悪そうなものを思いっきり食べる背徳感のようなものを求めてきていると仮説が立ちます。

他にも、必要なもの(=Must have)だけでなく、あったらいいな(=Nice to have)までを取り入れてしまい、後者が足を引っ張って管理工数がかかる割に成果が出ない、みたいなこともよくあります。

判断の難しい部分ではありますが、顧客の声を取り入れる部分と、戦略的に取り入れない部分の仕分けをすることが大切です。

マーケティングフレームワークで言うと、「STP-4P(4C)」に当たる部分ですね。

代表:岸川

知り合いの経営者も、プロダクト開発前にまずはプレゼンしてみて、反応がよくなった段階で開発に着手すると言ってました。

失敗パターン⑦:新規事業の推進力が足りていない

解決策例:
意思決定権者(決裁権者)のコミット、外部専門家の確保(コンサル、専業マーケター、営業顧問など)、実行部隊の確保(業務委託・インターンなど)、など

顧客像や顧客検証が進められているとしても、事業化における推進力が圧倒的に足りていないケースがあります。

新規事業は最初は赤字ビジネスですから、大きなリソースを割きたくないというのは経営者の本音としてごもっともです。

しかし、現代のビジネスではスピードが命。うかうかしていると、似たようなビジネスモデルを先に他社に構築されて、今まで投下していたリソースが無駄になる、ということも十分あり得ます。

推進力が足りていないプロジェクトによくあるケースは以下の通りです。

推進力が足りないプロジェクト

・意思決定権者(決裁権者)・または意思決定権者を動かすキーマンがいない
・プロジェクトマネジメントができるメンバーがいない
・業界の専門家、またはマーケティングの専門家がいない
・特定の志向性を持つメンバーに偏り、ダイバーシティがない
・意思決定は進むが、実行リソースがなく、決定事項が消化されない

専門家の総力戦を仕掛けてくる企業が増えている中、自社のリソースだけで新規事業を完結させるのは至難の業です。要所要所で外部と連携し、足りない部分を補うことが大切です。

また、実行人材としては学生インターンパート・アルバイトが有効な場合もあります。例えばテレアポのような労働集約的かつある程度のパターンが用意できるビジネスは、むしろ充てられる時間の少ない正社員より活躍するケースもあります。

実行人材が足りない場合、学生インターンパート・アルバイトで組織をつくるというのも1つの手です。

※「レンタルCMO」では特に変化が激しいマーケティングのピンポイント戦略補強から、施策実行リソースの確保までを領域としております。詳しくは特設ページをご覧ください。

代表:岸川

新規事業にリソースが割けないというのはどの企業にもある課題ですが、机上論をこねくり回す人件費より推進力の方が大事なので、推進力にはしっかりリソース配分しましょう。

事業化~収益化のフェーズで問題があるケース

なんとか仮説構築のフェーズを超え、事業として回りだして顧客もついてきたが、収益がついてこない、というところが最後の壁です。

収益化においては特に集客力不足が引き起こす問題が多く、本記事のテーマとしてもマーケティング課題を取り扱っているため、特にマーケティング文脈のケースについて触れていきます。

失敗パターン⑧:マーケティングの戦略と施策の分離が起きている

解決策例:
CMO人材がコミットする、マーケティング施策のセカンドオピニオンを取り入れる、同業界の成功事例をなぞる、など

これは新規事業に限ったことではありませんが、マーケティングと一口に言っても、施策の種類はたくさんあり、なおかつルールが2~3ヶ月でアップデートされることも珍しくはありません。

そのため以下の内容に当てはまっている場合、注意が必要です。

戦略と施策の分離が起きがちなケース

・2~3年以上前のマーケティング知識で対応しようとしている
・非専門家がなんとか調べ上げていきあたりばったりの運用をする
・マーケティングのいち施策の専門代理店の言うことを鵜呑みにして進める
・SEO畑にいた人材に広告畑の施策を任せるなど、役割を越境させる
・流行りだからと、検証が進んでいない新施策に手を出す

もちろん、これらのケースに当てはまっていてもすべて失敗するというわけではありませんが、失敗確率が上がってしまうというのが正直なところです。

戦略と施策が分離していないか。なぜその施策をこれくらいのコストをかけてこの優先順位でやるのが良いのか、しっかり説明できるメンバーをアサインしましょう。

ちなみに、「広告施策を失敗した。広告代理店が悪い」という話をよくよく深堀りしていくと、このマーケティング戦略と施策の分離が起きていることが珍しくなく、失敗原因はどちらかというと広告主側にあった…ということも残念ながらよくあります。

代表:岸川

マーケティング施策にはどんなものがあるか、外注するか内製で進めるかの基準など、初めてのマーケティングに役立つeBookが、個人情報入力なしで無料で手に入ります。下記のボタンよりお受取りください。

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失敗パターン⑨:テストマーケティングを実施していない・発想がない

解決策例:
下記に代表されるテストマーケティング施策を実施する、など

マーケティングに慣れていないためか、「テストマーケティング」をすっ飛ばして、施策にリソースを全振りしてしまう企業様が後を絶ちません。

もちろんSEOやYouTubeのような中長期的な視点で取り組むべきマーケティング施策もありますが、これらはテストマーケティングには不向きです。

考えうる最小限のコストでエコノミクスが成り立つかを実験してから、予算を投下することが大切です。

例えば、テストマーケティングとしてはこのような方法があります。

テストマーケティング事例

・クラウドファンディングに出してみる(特にEC系)
・1反響1万円を目標にするのであれば、10万円程度の広告費で1~2ヶ月リスティング広告を回してみる
・FacebookやTwitterなどの個人SNSで概要だけまとめて発表し、興味ある人がどれくらい集まるか見る
・プレスリリースを出してみる

有名な話ですが、「SmartHR」というクラウド労務管理のサービスを提供している企業は、まだプロトタイプすらできていない段階で、検証用のLPを作って、予算2万円でFacebook広告を回したそうです。

すると、広告を止めてからも口コミがまわり、1ヶ月で200リードを獲得できたとのこと。

こういった実例が出ていることからも、本当に求められているものであれば、テストマーケティング程度のリスクの取り方でも成果が確信できるようになると言えるでしょう。

代表:岸川

テストマーケティングでうまく行かない場合、もちろん施策がいけてない可能性は考慮しつつ、商品がいけてない可能性にも目を向ける必要がありますね。

失敗パターン⑩:マーケティングの選択肢が見えていない

解決策例:
マーケティングの全体像に関するホワイトペーパーを取り寄せる、実際に多くの施策に当たっているマーケターに相談する、など

先述した通り、マーケティングとひとくちに言っても施策の数は山ほどあります。または、今まで認知されていた手法の中でも新たな機能が追加され、施策の幅が広がっているケースもあります。

これらの全体像が見えないまま「○○をやるなら△△という施策しかない」「○○をやるために□□という施策など的外れだ」と考えてしまうと、勝機を逃すことにつながりかねません。

実際、最近でも「マンガLP」「インタラクティブ動画」「AIコンテンツ評価システム」など、まだマーケター間でも検証が進んでいないような施策が台頭してきています。

これらをいかに最適に配置し、PDCAを回していけるかは、マーケティングリーダーの腕の見せどころです。

代表:岸川

マンガLPについては、株式会社まんがたり様スマートキャンプ株式会社様との共催ウェビナー「マンガってマーケティングにどれだけ生きるの?プロと実践企業にリアルなところを聞いてみた」の書き起こしがまんがたり様のサイトに公開予定ですので、こちらもぜひご参照ください。

失敗パターン⑪:マーケティングコストをケチりすぎている

解決策例:
マーケティングコストの閾値について情報収集する、マーケティングコストの配分を変える、など

現役マーケターには共感いただけることが多いですが、特に広告運用におけるマーケティングコストにはぼんやりと閾値があって、閾値を超えないと成果がほぼ無になってしまい、検証すらできないケースも珍しくありません。

もちろん新規事業なので投下できる資金は限られることは理解しつつ、閾値を超える程度のマーケティングコストが確保できないようであれば、そもそも既存事業に集中し、新規事業を行わない方が良いケースもあります。

また、商品・サービスのLTVが低すぎて、かけられるマーケコストが限られてしまう、というのも考えものです。この場合は商品やサービス設計の見直しが必要かもしれません。

代表:岸川

LTVとはなんぞや…という方は、こちらの記事をご参照ください。

これは余談なのですが、「BtoBマーケティング各論祭り」というウェビナーで共催の株式会社インターパークCOOの高井さんが仰っていた、

「月10万円の広告費を6ヶ月に分散させて進めるのであれば、月30万円×2ヶ月でやった方が、成果が見えやすい」

というのは、この閾値の話と近しいところがあると解釈しています。

当たり前ではありますが、コストをまとめてかけた方がPDCAが早く回るので、今後同じ広告費をかけるべきか、撤退すべきかの判断が早くできるということですね。

失敗パターン⑫:マーケティングの施策精度がいまいち

解決策例:
すべての施策の成果ポイントに精通し、総合的に判断できるメンバーを加える、など

マーケティング課題の多くがこの施策精度の問題と思われがちですが、個人的には①~⑪をクリアしてやっと、施策精度の検討に移ることができると考えております。

施策精度に関しても、どのようにやるか以上に「誰がやるか」に配慮する必要があります。

失敗パターン⑧にもありますが、例えば専門領域でないマーケターが施策を推進したり、2年以上現場から離れているマーケターが2年以上前の知識で施策を推進することで、失敗につながる可能性があります。

戦略と施策の分離が起きていない前提のもと、現役かつやりたいマーケティング手法に通じている方と進めることが失敗を防ぐ第一歩です。

ここまでやって成果が出ないのであれば、施策実行の質がよくないか、結果論的に事業そのものが施策と相性がよくなかったということですので、撤退ラインに踏み込んでしまった場合は早めに撤退しましょう。

代表:岸川

マーケターと言ってもたくさんの業種があるので、他の業種の専門家が専門でないマーケティングに精通していると思わないように…。営業している方が施策の経験があるかが重要です。

失敗パターン⑬:購入率やアクティブ率がいまいち

解決策例:
解析ツールの最適化、解析の専門家をチームに加える、など

意外と見落としがちなのが、集客後の購入率やアクティブ率です。要は集客効率は良いが、その後の継続利用につながっておらず、だんだんとジリ貧になっていくケースです。

LP・ECサイト・アプリのUIがよくなかったりオンボーディング施策が十分にできていない場合に起こりがちです。

どこまでをアプリの機能に任せるのか、どこからは人の手でサポートが必要なのかの設計が大事ですが、そもそもユーザーが少ないうちは、負荷になってでも人のサポートで顧客の声を収集し、改善に活かすことが大切でしょう。

また、ビジネスモデルによって、どんなKPIを収集するか、逆にどのKPIは無視して良いかが変わるので、考慮しなくて良いKPIに固執していないかはよくよく注意しておきましょう。

代表:岸川

あるサービスでは登録ユーザーと開発企業の社長が直接話せる仕様になっており、ユーザーニーズを社長自ら拾い上げていました。初期はこれくらいのコミットが必要かもしれませんね。

13の新規事業マーケティング失敗パターンを避け、成功を掴み取ろう

特にマーケティング文脈と関わる新規事業の失敗パターンについてお伝えしました。

もちろん、事業運営には不確定要素がつきもので、これらをすべて潰したからと言って成功が保証されるわけではありません。

しかし、少なくともマーケティング文脈では「北に進むべきなのに南の方向を向いている」という事態は回避できるはずです。

もしこの13パターンを回避するために必要な専門家が揃わない、ということがありましたら、「レンタルCMO」にて60分無料戦略相談を実施しておりますので、お気軽にご連絡ください。